以前書いたように、ベースの弾きやすさにおいて「ナット」は極めて重要です!
一般的には「弦高とネックの反りを調整すればいい」と思われていますが、それはナットが適切な状態でないと意味がありません。
あまり知られていませんが、ナットを調整するだけで驚くほど弾きやすくなりますよ。
ナットとは?
ナットとは「0フレット」とも言われいます。
普段開放弦以外を弾くときは、必ずどこかのフレットを押さえますよね?
そして「押さえたフレットとブリッジまでの間」がピッキングにより振動します。
では開放弦を考えると、これは「ナット部分で押弦している」と捉えられます。
つまり「ナットは他のフレットの高さと基本的に同じであるべき」と言えます。
さて、普通のベースはナットがフレットよりも高い(溝が浅い)状態だと思います。
そのため「ナットの溝を削って高さを下げる」ことが必要になります。
この状態ではどんな問題が出てくるのでしょうか?
ナットの高さと弦高
ではなぜ「ナットが高いと弾きにくい(低いと弾きやすい)のか」に言及します。
それは、ナットが高いと「そもそもの弦高が高くなるため押さえにくく、テンションも増加するから」です。
ナットが他のフレットより高ければ高低差が生まれるため、押弦の際により弦を指板に押し付けなくてはなりません。
例えば1フレットを押さえるとき、最も角度が急のため最も力が必要になります。
ローポジションではこの押弦しにくさが目立ち、余計な力が必要なので速いフレーズを弾くときは非常に大変です。
そもそも普段の弦高調整は「ブリッジのサドルの高さ」で調整してしていますよね?
つまりベース全体で見ると,ブリッジのみしか調整していないことになりますね。
逆にヘッド側は固定されています。
よって弦全体の高さを下げるなら「ヘッド側のナットの高さ」も下げる必要があります。
そう考えると,ナットを適切な高さまで削って下げるのは当然ですね。
続いて弦のテンションですが、ナットが高いと弦高が上がるので結果的にテンションも上昇します。
つまりピッキングに力が必要になり、スラップするにもすぐ指が痛くなってしまいます。
しかし強いピッキングが好きな人もいますので、自分がどんなタイプか考えて削りましょう。
「強くピッキングしてもビビらず、それでいてロータリーがしやすいベース」というのは矛盾しています。
弾きやすいベースはそれ相応の脱力や振り抜き方を覚えなくては、ただただバズ音のひどいベースになります。
いろんなタイプのプレイをしたい場合はベースを複数本使い分けましょう。
何事もバランスが大切です。
攻めたセッティングにしすぎず、オールラウンドなセッティングにするのもオススメします。
ナットの削り方
ナットを削って下げることで以上の問題を解決できます。
「そんなちょっと削るくらいで本当に弾きやすくなるのか?」と思う気持ちはわかります。
僕も最初はそう思ってました。
何よりナットを自分で削るなんてリスキー過ぎますよね。
「素人がやったら危険」「そもそも削る器具なんて手に入るのか」と思いましたが、意外と簡単です。
削るには「直径1mmかそれ以下の棒ヤスリ」を使いましょう!
僕が使っているものは絶版で売っていないみたいです。
直径1mmのダイヤモンドヤスリです。
このヤスリなら最も細い1弦の溝でも削れます。
削り方として気をつけることは
・なるべくネックに対して平行に削る
・めんどくさがらず少し削ったらチューニングして確認する
・弦の丸みがしっかりハマるような溝にする
・他のフレットより少し高い程度でやめる
・開放弦でビビらないように注意
・1フレットを軽く押しただけで押弦できる程度には削る
ナットは削りすぎたらアウトです!
買い替えるしかありません。
しかし削らなすぎては意味がありません。
何度も言いますが「めんどくさがらずにこまめにチューニングして確認」してください!
開放弦がビビらず、1フレットが簡単に押弦できるようになったらオーケーです。
サドルをいじって改めて弦高を調整し、完成です。
今までと比べてはるかに弾きやすくなっていると思います!
テンション低下に伴って、今までの強さで弾いていたらビビります。
脱力やキレイな振り抜きフォームを覚えましょう。
いずれにせよ今までは「速いフレーズや激しいフレーズ、スラップすると指が痛くなっていた」のに、「押弦しやすい」「スラップが軽い力でいいためロータリーができる」といった使い心地になったのではないでしょうか?
最初は慣れていないので一気に削り過ぎず、何回にも分けて弾き心地を確かめながら削りましょう。半年くらいかけてもいいと思います。
勇気を出して削ってみましょう!!
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こちらの記事にリンクを貼ってあるのでぜひ!