【ローはいらない!?】ベースの音抜けを左右する音量と低音・高音のバランス関係

今回はベーシストが絶対に知っていなければならない真実をお伝えします。

ベースはバンド内で低音域を支配しています。

この低音域はギターやボーカルなどの高音域とは全く異なる性質を持っているのです!

 

低音と高音の聞こえ方の違い

普段「音」を聞く時,あなたはどれくらいの音量にしていますか?

イヤホンやスピーカーで音楽を聴いたり,家やスタジオでアンプにベースをつないで弾きますよね。

この時,音量を上げたり下げたりすると低音・高音の聞こえ方はどのように変化していますか?

音源であれば「バランスは変化できない」はずです。

しかし,実際に聞いた印象は音量によってバランスが異なって聞こえます。

これから分かるように,低音と高音は音量を変化させた場合「同じ割合で変化しない」のです。

「数値的には変化しない」ので,「ヒトが聞く印象が変化する」ということになります。

音量に対する低音・高音の変化の仕方

音量(つまみやボタンで調整できる数値)と,実際に聞いた時の印象を低音・高音に分けて以下の図に示します。

これは僕の印象ですが,おおよそ関係性はこの通りだと思います。

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ここで

・比較的小さい音:イヤホンやスピーカーで音楽を聴いたり,家でアンプに繋いで練習する程度の音量

・比較的大きい音:結構大きいと感じる程度まで音量を上げて音楽を聴いたり,ライブハウスやフェス程度の音量

としました。

「鼓膜でダイレクトに音を感じる」イヤホンと,「全身で音を感じる」アンプやスピーカーとは受け取る印象が変わりますが,今回はこんな分類をしました。

またギターやボーカルなどの高音域を基準とするため直線で表しました。

図のように,普段聞くレベルの音量では低音が小さく感じます。

ベースが聞こえないとか,目立たないと言われるのはそもそも他の音域よりも小さく聞こえているからなんですね。

しかし面白いことに音量を上げていくと,ある点で音の大小関係が逆転します。

あくまで耳で聞いた感覚ですが,ギターなどの高音域は音量を上げてもさほど大きくなりません。

一方ベースのような低音域は,急激に上昇します。

「ちょっと大きいかな?」と感じる程度まで音量を上げてやると,バランスをいじらずとも低音が前に出てきます。

結果,ギターやボーカルが少し引っ込んだ印象を受けます。

バランスが変化しようがない音源でも,音量によって聞こえる音のバランスは全く違うのです!

例えば映画館で映画なんか見ると,男性のセリフとかは非常に低音が目立って聞き取りづらいことがあると思います。

ですが,本人の声を直に聞いても低音がモンモンして聞き取りにくいわけではないですよね。

結局映画館のような大音量の場合,普通の話し声さえ低音が目立って聞こえるんです!

あとはライブハウスなんかでSEがかかっている時にも感じると思います。

普段聞いている音源をライブハウスでかける程度の音量にすると,やたらと低音が強く聞こえますよね。

「こんなに低音出てたっけ?」と思ったことがあると思います。

これは単純に音量が大きいためです。

このレベルの音量では低音が目立つんですね!

これはやっかいです。

どれが本来のバランスなのか分からなくなりますね。

ミキシングの際はだいたいスピーカーで,大音量で聴きながら調整します。

この時小さめの音量では聴きません。

ある程度迫力が感じられる,大きい音で音楽は聴くべきなのでしょう。

そのため普段ボーカルが聞こえる程度の音量で音楽を聴いている人には,低音が物足りなく感じるでしょう。

「音楽を聴く」というのは,ボーカルだけ聞こえる程度の音量ではなく「楽器もバランスよく聴こえる音量にする」のが前提条件だと思いますね!

あと安いイヤホン・スピーカーでは高音しか聞こえないので,これも音楽を聴くには不適切でしょう。

スタジオ練習やライブなどの大音量に対応した音作り

話が逸れましたが,実際スタジオやライブなど大音量を出す場合の音作りを考えてみましょう!

上に示したように低音域は音量で変化してしまうため,「家のアンプやイヤホンで聞いて作った音はそのまま使えない」ということになります。

プリアンプやエフェクターにイヤホンを繋ぎ家で音作りをしたとしても,ライブレベルの音量に拡大した場合では聞いた印象が変わってしまいますね。

そのため「家で弾いて気持ちいいセッティング」と「スタジオやライブハウスで弾いて気持ちいいセッティング」は別物となります!

ほんと面倒な楽器ですよ…

低音域のバランスに関しては家で音作りができないんですから。

まあ結局低音が大きく出てしまうので,ライブなどではプリアンプやエフェクターのローをいつもより下げれば解決できますね!

僕の場合はプリアンプが内蔵されたアクティブタイプのベースを使っていますが,家でイヤホンで練習するときはローをブーストしています。

でもスタジオやライブハウスではローをフラットに下げてます。

実際やってみるとちょうどいいんです。

有名なベースの「スティングレイ」はよく音抜けが良いと言われますよね。

あれは50 Hz以下をバッサリカットしてるらしいです。

そのためイヤホンでは少し物足りませんが,ライブではちょうどいいんです!

僕が使用しているZOOMのB3にはグラフィックイコライザー(周波数帯ごとに細かく調整できるイコライザー)も入っているので,スタジオやライブハウスでは必ずオンにし,「50 Hzを下げ120 Hzを上げています」。

ベースの音作りにおいて,ベース単体でよい音でもアンサンブルでは微妙に聞こえる現象があります。

これはギターや男性ボーカルからローが出ているため,ベースのローと合わさって過剰に聞こえます。

50 Hz以下は基本的にスタジオなど大きい音量を出す場合,フラットでも過剰なのです!

こいつは思い切ってカットすると,アンサンブルでボワつくことなく適度にベースラインが前に出てきます。

代わりに120 Hzあたりを上げてやると,低音域がしっかり出ている印象を受けます。

レコーディング等では物足りない音になると思いますが,スタジオやライブハウスではこのような音作りをオススメします!

とにかく「この周波数をカットしたら音がしょぼくなるだろう」と思っても,とりあえず試してみることが大事です。

意外と丁度よかったりするものです。

ベーシストであっても,バンド全体の音のバランスを考えてローは増やさずカットしましょう!

まとめ

・低音と高音のバランスは音量によって変わる

・低音はある程度まで音量を大きくしないと出てこない

・「家やレコーディング用の音」と「ライブ用の音」で音作りは分ける

・ライブではローを下げる

あくまで個人の意見ですが、私はこのような認識で音を作っています。

「家で作った音はそのままライブに使えない」という厄介な事実をお伝えしました。

ローを下げればだいたい解決するので,他はさほど調整しなくても大丈夫です。

ギターのように「ライブのために家で音を作り込む」のはあまり意味がないので,目安程度に考えておきましょう!

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