ZOOM B3はマルチエフェクターで,プリアンプやエフェクターだけでなくアンプシュミレーター(アンシュミ)も入っています。
アンシュミは使い方を誤ると沼にはまります。
便利ですがむやみに使う前に,正しい使い方を考えましょう。
アンシュミの役割
「アンシュミ」とは,これを使うとAmpegやHartkeといった各種アンプ(アンプヘッドとキャビネット)の前で聞いているような状況を再現します。
つまりスタジオやライブハウスのステージ上で,アンプにベースを接続して弾いているいつもの状況が再現されています。
これが何を意味するかというと「ライン録りなのにアンプの前で聞いているような空気感が味わえる」ということです。
公式サイトによると
スピーカーの音響特性をシミュレートする12種類のキャビネットモデルと組み合わせて、実在モデルと同様の本格的なアンプサウンドをライン接続で再現。異なるメーカーのアンプとキャ ビネットを組み合わせて、独創的なアンプサウンドを作り出すことも可能です。
と書かれています。
以下,公式サイトURLです。
https://www.zoom.co.jp/ja/products/bass/b3-bass-effects-amp-simulator-pedal
通常生音だけでライン録りすると,のっぺりした奥行きのない音になります。
しかしアンシュミを通してやると,奥行きやボトムまで響く感じが得られます。
サンズなど,プリアンプの中にはこうした空気感を再現したものもあります。
しかし大抵は空気感のない音になってしまうので,レコーディングや弾いてみた動画にはアンシュミを追加で挟むのが理想です。
実際のレコーディング現場では
ベース→プリアンプやアンプヘッド→DI
で音を拾います。
最後にPC上で後からアンシュミを通してやったり,マイクを置いたような空気感や音の広がりを「マスタリング」で調整します。
B3を使った場合は
ベース→プリアンプ→B3(アンシュミかつインターフェイス)→PCなど
といった流れになると思います。
なんにせよ「アンシュミは主にライン録りで空気感を出すために使う」という認識が正しいのではないかと思っています。
ライン録りでのアンシュミの使い方
B3のアンシュミでは,必ずパラメーターの最後に「Mix」のつまみがあります。
これはベースからの信号を「どれくらいキャビを通過させた音にするか」を調整できます。
よってMixを100にすると「完全にキャビを通過した空気感のあるリアルなアンプサウンド」が得られます。
プリセットではこのMixが50になっています。
また別の記事でも書いたように,パッチごとにエフェクトバランスを調整できるので大元のこのバランスも考慮する必要があります。
これが低ければ,そもそもアンプサウンドらしさが減りますからね。
僕は「パッチのバランスは70,キャビのMixは100」にしています。
またB3はキャビの種類も選べるため,ヘッドとキャビのメーカーを変えることもできます。
スタジオ,ライブでのアンシュミの使い方
さて,これまではあくまで「ライン録り」のみについて言及してきましたが,スタジオやライブハウスでは気をつける点があります。
「家でライン音を聞いて音を作り,スタジオやライブハウスに持ち込む場合」です。
ライン音を聞く宅録とは違い,置いてあるアンプにつながなくてはなりません。
つまり「アンシュミで作った,キャビを通過した空気感のある音」を「さらにアンプを通して出力する」ことになります。
これでは二重になってしまいます。
しかしアンシュミのアンプヘッドは有効にしておきたいので,「キャビのみをなくす」作業が必要です。
よってアンシュミの「Mixを0」にします。
スタジオにはキャビがありますし,ライブハウスでは客席のスピーカーがキャビとなるので,Mixは0でないとボワついた音になります。
必ずこれはカットすることを忘れないよう気をつけましょう!
つまり「実質プリアンプとして」使用することになります。
アンシュミによるプリアンプの二重がけ問題
ここでどうしても問題となるのは,「アンシュミの音をさらにアンプヘッドに入力することになる点」ですね。
アンプヘッドのInputに入力するため,「プリアンプの二度がけ」になります。
これはアンシュミに限らず,プリアンプで音を作ってライブする人は誰もが経験したことがあると思います。
よくある対策は「アンプのセンド/リターンから入力すること」です。
ここに接続すると,アンプのヘッド部分を経由しないため,持ち込んだプリアンプの音のみが反映されます。
しかしライブハウスではDIがヘッドより前に接続されており,短い転換やリハ時間で挿し替えたりしてもらうのは現実的に厳しいです。
そんなわけで一般的には「場数を踏んで,どのアンプでも瞬時に望みの音作りができるようになれ」と言われています。
僕は8年ベースをやっていますが,ライブハウスの経験は十数回程度のため,いまだにできません。
アンシュミの話から逸れましたが,アンシュミを「ライン臭くない空気感がある音を作るための成分」とするならば,「ライブハウスではアンシュミを外す」のがベストかもしれません。
もちろんアンシュミのみで音を作っているなら,「Mixを0にするだけ」でいいと思います。
どっちにしろ,目の前にあるアンプから自分好みの音を作れるようになる必要があります。
これができれば苦労しませんが笑
仮にセンド/リターンでバイパスした音が出せても,結局スタジオやライブハウスの大きさやPAさんの技術,ましてやキャビが毎回違うので「一様な音を出すことは無理」ということです。
そこを受け入れ,どんな状況でも素早く調整できる技術を身につけるのがベストです。
さらにプリアンプを複数接続している人は,なるべく一つにしましょう。
でないとライブ当日にアンプを含め,いくつもパラメーターがあり「過剰に加工された音」になったり,「どこを調整すればいいのかわからない」という事態になります。
ベーシストの音作りはバンドで飛び抜けて難しいので,とにかく耳で聞いてその都度対応しましょう!
まとめ
まとめとして,ZOOM B3のアンシュミは
・宅録などのライン録り時に使う
・別でプリアンプを接続している場合,スタジオやライブハウスでは外す
・Mixを0にし,ただのプリアンプとして使うのもあり
このようにアンシュミはアンプ特有の音の厚みや広がりが出ますが,スタジオやライブハウスでは邪魔になってしまうケースがあります。
そこを理解した上での音作りを心がけましょう!
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こちらの記事にリンクを貼ってあるのでぜひ!